上映作品


ラース・フォン・トリアー監督特集 -LARS VON TRIER-
5つの挑戦
■ 原題:The Five Obstructions
■ 監督:ラース・フォン・トリアー
■ 出演:ヨルゲン・レス / ラース・フォン・トリアー / ジャクリーヌ・アレナル / ダニエル・エルナンデス・ロドリゲス
■ 2003年 デンマーク
■ 90min ■ 言語:Danish / English / French / Spanish 
ストーリー
ラース・フォン・トリアーとヨルゲン・レスは、レスが1967年に製作した12分の短編映画『The Perfect Human』を試写。トリアーの全決定にしたがい、レスはこの作品のリメイクを5本制作することに。大先輩をつかまえて次々と無理難題を課してくるトリアーを向こうに廻し、レスはどう“5つの挑戦”をクリアーしてゆくのか? 監督同士のガチンコ対決が始まる。
作品紹介
ラース・フォン・トリアーが、尊敬する大先輩だというヨルゲン・レス監督に、ある日ゲームを持ちかけるところからこの映画は始まる。
それはレス自身の過去の短編をトリアーが提示した条件に則って5回リメイクすること。
例えばその条件の一つは「世界で最も悲惨な場所で撮影すること」。大先輩であるヨルゲン・レスが素直にインドの貧民窟まで出かけていくところが可笑しい。抑制のきいたスタイリッシュな映像が持ち味のレスに「君の映像は気取っている」と言い放ち、撮り直しを命じるトリアーのサディストぶりも次第にエスカレートしていく。
二人の映画作家が一本の映画のリメイクを巡ってアクロバティックな神経戦を繰り広げていくスリリングな展開は、同時に映画撮影の創造的な過程を追う記録としても興味深い。
「ラースは、私を心理的に破綻させたところからピュアなものが生じてくると信じているが、それは彼のロマンティックな部分」と喝破するレスは、あくまでも抑制を失わない態度を保とうとするが…。果たして挑戦者とはどちらだったのか?ゲームの勝者は誰だったのか?
考察する愉しさに存分に浸れる隠れた傑作である。 (雨宮)