上映作品


ラース・フォン・トリアー監督特集 -LARS VON TRIER-
奇跡の海
■ 原題:Breaking the Waves
■ 監督:ラース・フォン・トリアー
■ 出演:エミリー・ワトソン / ステラン・スカルスゲールド / カトリン・カートリッジ / ジャン=マルク・バール
■ 1996年 デンマーク ■ 158min ■ 言語:English
【受賞】
1996年 カンヌ国際映画祭・審査員特別グランプリ
1996年 ヨーロッパ映画賞・最優秀作品賞&最優秀女優賞&年間女優賞
1996年 全米映画批評家協会賞
ストーリー
プロテスタント信仰が強いスコットランドの村に住む女性ベスは、油田基地で働くよそ者のヤンと愛し合い結婚する。だが、ある日起きた大事故で、ヤンは半身不随になってしまう。朦朧とする意識の中でヤンはベスに、他の男たちと寝るよう強要し、信仰に篤いベスもまた、夫を深く愛するがゆえに、見知らぬ男たちと関係を持ち始めるのだったが…。
作品紹介
『エレメント・オブ・クライム』『エピデミック』『ヨーロッパ』など、他に類を観ない世界観と独特の作風で早くからカルトな支持を得ていたトリアーの名が、より広く知れ渡るキッカケとなった愛の名作。デンマークの古典的巨匠カール・ドライヤーやスウェーデンの名匠イングマール・ベルイマンの影響が見られるなど、北欧映画の伝統性を色濃く受け継いだ作品でもある。(トリアーは本作をドライヤーの『奇跡』へのオマージュだと語っている)
物語は全9章からなり、各章の冒頭で印象的な色彩の風景画をバックに60〜70年代のロックが流れるという構成は今なお斬新。排他的な村社会でただ純粋に神を信じ、夫への愛を貫くヒロイン・ベスを見事に演じ切ったエミリー・ワトソンの神がかり的な存在感もさることながら、彼女の感情の不安定な揺れをヴィム・ヴェンダースやジム・ジャームッシュなどの作品で撮影を手掛けてきたロビー・ミューラーによる手持ちカメラの映像がリアルに描き出している。 (栗本)