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サイレンス

 
 

■原題:Hiljaisuus/英題:Silence
■監督:サカリ・キルヤヴァイネン(Sakari Kirjavainen)
■出演:Joonas Saartamo/Lauri Tilkanen/Joanna Haartti/Terhi Suorlahti/Ilkka Heiskanen
■2011年 フィンランド■111min■字幕:日本語
■言語:フィンランド語(Finish)

    2012年フィンランドアカデミー(ユッシ)賞、最優秀主演男優賞、最優秀音楽賞ほか4冠

    2月11日(月)11:30〜 / 12日(火)16:30〜 / 14日(木)21:20〜


ストーリー

継続戦争さなかのフィンランドとソ連の最前線。傍らにフィンランド軍の戦死者の遺体を収容し、一時的に安置する施設があった。牧師が指揮する女性が大半の職場で、戦争の犠牲者の遺体を前線から回収した後、修復して棺に納め、故郷に送り返す仕事をこなす日々が続く。
そこに遺体修復士の息子エイノと、同郷の友人アンティ、死者の声が聞こえるというコルピカンガスが配属される。エイノは遺体の回収と修復を黙々とこなし、コルピカンガスは夜通し遺体に付き添う。ところがアンティは同僚の女性に誘われるまま危険な闇商売に手を出してしまう。
身近すぎる死の傍らで、繰り広げられる人間ドラマを丹念に描く。


作品紹介

この作品の背景になっているのは、第二次世界大戦の一部として戦われた継続戦争(第二次ソ連・フィンランド戦争)である。戦争映画だが、作品の主人公は前線で戦う兵士たちではなく、亡くなった彼らを故郷で待つ家族のもとに送り届ける、いわば「戦場のおくりびと」といった感じの人びとである。
女性ばかりが目立つ職場に、男性二人が配属され、そこに生じるさまざまな波紋。戦争の残酷さだけではない、人間模様が展開される。この作品にかぎらず、北欧の戦争映画にはハリウッド作品に典型的にみられるような、お金をかけた派手なアクションシーンはほとんどない。
反面、そこにいる人々の感情を細かに描き出すことで、かえって戦争の醜悪さ悲惨さといったものを強烈に描き出しているように思える。それが本国では支持されたのだろう。本作は2011年のフィンランドのアカデミー賞に該当するユッシ賞で、4冠を成し遂げた。 (塩田)