ストーリー

崇高な騎士道物語に憧れているベンヤミンたち4人は、慕っている老女が、心ない少年に可愛がっている猫を殺された上、火事で家を失ったと知り騎士団を結成、行動に出る。
老女のために新しい住居を求めて駆け回り、大人たちの協力も得て彼らは騎士団の高潔な目的を遂行してゆくが、いつしかその結束にも亀裂が生じ、輝いていた夏が翳り始める…。

作品紹介

子供を子供扱いせず、確たる個性を携えた一人の人間として、時に試練を課しながらその成長を温かくも厳しい眼差しで見つめる…。子供映画にこそ名作が多い北欧ならではの1本にして、アイスランド映画の隠れた秀作。原作は1992年に出版された同名小説で、こちらも数々の児童図書賞を受賞している。
映画は、すっかり大人になった主人公が25年前の夏を回想するという形式で始まる。世の中の表も裏も知らないゆえに純粋な正義を胸に秘めていたあの頃…。高潔な騎士となることを夢見る少年たちが正義を遂行すべく結束し、戦う姿に胸のすくような思いがする反面、純真だからこそ心の裏の残酷をも剥き出しにしてしまう彼らに、誰もが遠く過ぎ去った子供時代を思い出し、胸をしめつけられるに違いない。
監督のギスリ・スナイル・エリンソンは寡作だが、本作の次に撮った『イキングット』が2006年のアイスランド映画祭で上映され、こちらはDVD化もされている。
目まぐるしい日々の中で遙か昔に忘れてしまった胸の奥の何かを思い出させてくれる、北欧版『スタンド・バイ・ミー』も決して言いすぎではない必見の作品。 （栗本）