上映作品

北欧パノラマ

予想外な8月

 
 

■原題:Mieletön elokuu■英題:August Fools
■監督:タル・マケラ(Taru Mäkelä)
■出演:カティ・オウティネン(Kati Outinen)/ミロスラフ・エツレル(Miroslav Etzler)/ Elena Leeve/クリストフ・ハーデク(Krystof Hádek)/ラウラ・ビルン (Laura Birn) /エスコ・サルミネン(Esko Salminen)
■2013年 フィンランド・チェコ■100min
■言語:フィンランド語、チェコ語(Finnish, Czech)
■字幕:日本語

        [ユーロスペース]  2/8(日)21:10〜  2/12(木)11:30〜




ストーリー

1962年、ヘルシンキ。エルサは、姪のミニーを預かって、 婦人帽子店を営んでいた。ミニーは、 間もなく開催される国際平和祭を楽しみにしていたが、 共産主義を嫌うエルサは、 ミニーが平和祭に行くことを認めていなかった。そんなある日、 23年前に離ればなれになってしまった元恋人のヤンが、アダムという男と一緒に 突然訪ねて来る。ジャズミュージシャンのヤンは、 チェコスロヴァキアの代表として平和祭に出演するため、 アダムは党の監視役としてヘルシンキへやってきたのだった。 長い間音信不通だったヤンをなかなか受け入れられないエルサと、 なんとかエルサの心を取り戻したいヤン。そして、 一目でミニーと恋に落ちたアダム。しかし、 ヤンとアダムは党の厳重な監視下におかれているのだった…。


作品紹介

タル・マケラ監督長編2作目。脚本のライヤ・タルヴィオは『 カラマリ・ユニオン』(1985)、『パラダイスの夕暮れ』( 1986)などで編集を手掛けている。
映画の舞台は1962年。 エルサとヤンが離ればなれになってしまったというのがその23年前。つまり、 第二次世界 大戦が勃発した1939年である。 ふたりは戦争によって引き裂かれ、 そのまま冷戦によって音信が途絶えてしまったのだ。 共産主義国だったチェコスロヴァキアと、 非同盟国でありながらも、東側 寄りという微妙な立ち位置のフィンランド、そして、ソ連、 ノルウェーといった隣国との関係などが垣間見える。
とはいえ、冷戦による問題も恋の顛末も、ジャズとR& Rにのせてコミカルに描き、爽快なラブ・ コメディに仕上がっている。
常連のアキ・カウリスマキ作品では、ほぼ無表情のカティ・ オウティネンが、本作では、怒り、笑い、瞳を輝かせるなど、 いろいろな表情を見せてくれる。また、 エルサとは対照的に描かれる、 社交的で天真爛漫な姪のミニー役のElena Leeveがフレッシュな輝きを放つ。そして、 ミニーの友達役で登場するラウラ・ビルンは、 2013年のベルリン国際映画祭でシューティングスターに選ばれ 、今後が期待される俳優のひとりである。 そんな彼女たちが次々に披露するカラフルな60年代のファッショ ンも見所のひとつ。
ヤン役のミロスラフ・エツレル、アダム役のクリストフ・ ハーデクは共にチェコ出身。クリストフ・ハーデクは『アンダー・ ザ・スキン 種の捕食』(2013)でチェコ人の旅人役で出演している。 物語の鍵を握る警察長官役には『ファーザーズ・トラップ 禁断の家族』(未/2011) でクレイジーな父親を演じたエスコ・サルミネン。(細川)