上映作品

ドグマ 95

セレブレーション

 
 

■原題:Festen■英題:The Celebration
■監督:トマス・ヴィンターベア(Thomas Vinterberg)
■出演:ウルリク・トムセン (Ulrich Thomsen)/ヘニング・モリツェン(Henning Moritzen)/トマス・ボー・ラーセン(Thomas Bo Larsen)/パプリカ・スティーン(Paprika Steen)/トリーヌ・ディルホム(Trine Dyrholm)
■1998年 デンマーク、スウェーデン■106min
■言語:デンマーク語、ドイツ語、英語(Danish, German, English)■字幕:日本語
■1998年カンヌ国際映画祭審査員賞、1999年デンマークアカデミー(ロベール)賞最優秀作品賞ほか7冠
アンコール上映

        [ユーロスペース]  2/11(水)21:10〜




ストーリー

ある日、デンマークの鉄鋼王ヘルゲの還暦を祝うパーティーが催され、長男のクリスチャン、次男のミケル、娘のヘレーネほか、親族の者たちが続々と広大な屋敷に集まってくる。しかし、ミケルはウェイトレスのミシェルと不倫しており、クリスチャンの双子の妹リンダは数ヵ月前に自殺。屋敷には不穏な空気が漂っていた。リンダの葬儀に出席しなかったミケルは招待者のリストから外されていたのだった。やがて始まった晩餐会。スピーチを頼まれたクリスチャンは突然、リンダの死に関わる衝撃の事実を語り始める。それは富豪一家の隠された暗部を暴くものだった…。


作品紹介

ラース・フォン・トリアーの提唱により始まった映画運動「ドグマ’95」は、この、当時若冠29歳だったトマス・ヴィンターベアが放った第1作『セレブレーション』で世界中に認知された。
家庭用デジタル・ビデオで撮影された粗い映像がわしづかみにするスケールの大きいある家族の物語は、現代の低予算映画の完璧な成功例として今でも充分手本となるに違いない。
また、“虐待”や“トラウマ”といったキーワードでセンセーショナルに煽った宣伝が功を奏し、本作はデンマークではあの『タイタニック』に次ぐ大ヒットを記録したという。(1997年)
壮麗な屋敷を舞台に容赦なく描かれる一つの家族の姿は、最も醜い部分を知り、反発していても決して離れることができない“祖国”というものも表している。富豪一家の暗部を近視眼的に生々しく抉りながら、テーマを大きく俯瞰するその冷徹な眼差しにはただただ驚くばかり。
そして本作の映画的魅力の一つは粗い映像とは一見不釣り合いのドルビー・サラウンドだが、録音はマイクを50本仕込み、音響技師2人を現場に入れ、すべて同録でとったという。これに関してヴィンターベアは、“録音については「ドグマ」の制約になかったから”と当時語っている。ドグマの作家たちが、いかにその制約を逆手にとって才気を発揮していたかがわかる好エピソードだろう。(藤本)