上映作品

北欧からの贈り物

土の恵み

 
 

■原題:Markens grøde■英題:The Growh of the Soil
■監督:グンナル・ソンメルフェルト(Gunnar Sommerfeldt)
■出演:アームン・リュドラン/カーレン・パウルセン/ラグナ・ヴェッテルグレーン/セッセ・スカンケ/グンナル・ソンメルフェルト
■1921年 ノルウェー■93min■言語:ノルウェー語(Norwegian)







ストーリー

開拓者として荒れ果てた土地に家を建て、暮らし始めたイサクとインガーの夫婦。日々の苦労は絶えなかったが家を少しずつ大きくして家畜も飼い、2人はやがて、慎ましくも幸せな生活を手に入れる。しかし、生まれた我が子に障害があることを悲観してインガーが手にかけてしまい、捕らえられ服役することに。それでもイサクは一生懸命働き、インガーが6年の刑期を終えて出所する頃にはさらに土地を開墾。その上、銅の鉱脈も発見して先々に明るい兆しが見えたが、今度はそこへ資本家の手が伸び、土地の者たちは次々と農地を手放してゆく…。


作品紹介

TNLF2014で上映され、好評を博したスウェーデンの巨匠ヤン・トロエルの歴史大作『ハムスン』(1996)。その主人公である、ノルウェーを代表する作家クヌート・ハムスンのノーベル賞受賞作が本作の題材となった『土の恵み』。
デンマークの俳優兼監督で、本作にも出演しているグンナル・ソンメルフェルトは、かねてより文学作品の映画化に関心を持っていたことから、この『土の恵み』を自ら脚色して映画化することになる。
北欧映画は、国を越えた映画人同士の交流によって作られているものが多く、『ハムスン』も同様だが、本作もその好例。また、撮影のゲオ・スネーフォート(George Schneevoigt) もデンマーク人で、彼も後にデンマークを代表する映画監督になっている。
『土の恵み』は、文明に対する批判精神と、人間は土と共に生きるべきというハムスンが生涯追求したテーマが最も色濃く表現された作品だが、映画製作と同じ頃、パレスチナを旅行してユダヤ人入植者たちの記録映画も作っていたソンメルフェルトは、本作をさらに開拓者のドラマとして味つけした。
今回の上映は、サイレントである本作にノルウェーの新進ジャズ・トリオが即興で音楽をつけるという特別編。およそ1世紀前の名作が現代の先駆的音楽といったいどのような融合を果たすのか…。
こんな機会はまたとない。 (藤本)