上映作品

北欧ミステリ特集

刑事マルティン・ベック

 
 

■原題:Mannen på taket■英題:Man on the Roof
■監督:ボー・ヴィーデルベリ(Bo Widerberg)
■出演:カルル・グスタフ・リンドステット(Carl-Gustaf Lindstedt)/スヴェン・ヴォルテル(Sven Wollter)/トーマス・ヘルベルイ(Thomas Hellberg)/ビルギッタ・ヴァルベルイ(Birgitta Valberg)
■1976年 スウェーデン■110min■言語:スウェーデン語(Swedish)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
■1977年スウェーデンアカデミー(グルドバッゲ)賞最優秀作品賞、主演男優賞

        [ユーロスペース]  2/7(土)11:30〜  2/10(火)16:30〜  2/13(金)11:30〜



ストーリー

1971年春の深夜。ストックホルムのサバツベリ病院に入院中のニーマン警部が鋭い銃剣で斬殺された。早速、マルティン・ベックをはじめストックホルム警察殺人課の刑事たちが現場に駆けつけた。血の海に染まった凄惨な現場の状況にみな息を呑む。現場を検分した後、ニーマン夫人と息子のもとを訪問したベックは彼が家庭ではよき夫、よき父親であったことを知る。だが被害者ニーマンの身辺を調べるうち、彼が悪徳警官と噂されていることをつかみ、軍隊で一緒だったコルベリ刑事も、彼にまつわる苦い話をベックに打ち明ける。残酷で悪辣な警部の素顔が浮かび、彼に恨みを抱いた者も多いことは容易に推察できた。そこでベックたちは司法監察官あてに届いたニーマン警部への苦情の記録を洗う。調べるうち、警部に恨みをもつ一人の元警官、エリクソンが浮かび上がる。事情を聴くため彼の実家へ向かうが行方がわからない。両親の話から、彼が射撃の名手で多数の銃を所持していることが判明する。同じ頃、ストックホルムの中心地で銃声が轟く。現場はパニック状態に陥るが、犯人は執拗に警官のみを狙っていた。非常線が張られ、騒然とする市街。ベックたち警察官は、狙撃犯を必死で追う。


作品紹介

スウェーデンの人気ミステリ小説「刑事マルティン・ベック」シリーズをスウェーデン本国で“Roseanna”(1967、シリーズ第1作の『ロセアンナ』の映画化作品)に続き映画化した作品。原作はシリーズの第7作『唾棄すべき男』にあたる。
現在の北欧ミステリブームの礎を築いたといって過言ではない、マイ・シューヴァルとペール・ヴァールー夫妻の本シリーズは作品誕生から50年を経たいまなお、映像作品としても高い人気を保っており、これまでに何度も映像化されている。2015年も、本国スウェーデンでは5シーズン目となるテレビ新シリーズの放映がお正月から始まっているが、本作はそれら多くの映像作品の元祖とも言うべき傑作である。
監督は日本でも『あこがれ美しく燃え』『サッカー小僧』などで知られ、国際的な評価も高いボー・ヴィーデルベリで、本作では脚本も手がける。ベックを演じるのはカルル・グスタフ・リンドステットで、スウェーデンではコメディアンとしても知られる名優である。
作品冒頭で残虐な事件現場が映し出された後は派手なアクションもなく、刑事たちの地道な捜査を描き出す。一転して犯人との間で繰り広げられる派手な活劇へとストーリーは展開するが、最初から最後まで目が離せない。
ラストのシーンは大掛かりなロケで収録されたもの。もちろんCGなどない時代の作品だけに、墜落するヘリコプターも本物である。その危険な撮影は当時のスタッフの間で語り草になっているという。後半の活劇は、ぜひ迫力ある劇場の大スクリーンで見ておきたい。 (塩田)