上映作品

再発見! 北欧古典映画の魅力

ミカエル

 
 

■原題:Mikaël■英題:Michael
■監督:カール・Th.ドライヤー(Carl Theodor Dreyer)
■出演:ベンヤミン・クリステンセン(Benjamin Christensen)/ウォルター・スレザック(Walter Slezak)/マックス・アウツィンガー(Walter Slezak)/ノラ・グレゴール(Nora Gregor)/ロバート・ガリソン(Robert Garrison)
■1924年 ドイツ■89min■言語:ドイツ語(German)■字幕:日本語・ドイツ語【With German subtitles】
生伴奏付き上映

        [ユーロスペース]  2/9(月)19:00〜  2/11(水)16:30〜




ストーリー

大画家クロード・ゾレのもとに、ある日、若く美しい青年画家ミカエルがやってくる。ミカエルには画才がないと見抜いたゾレだが、その美しさに心惹かれ、自分の絵のモデルとなるよう誘う。ミカエルを養子として迎え入れたゾレは意欲的に絵を描いていくが、ザミコフ侯爵夫人が現れ、肖像画を依頼したことから運命が変わり始める。
ある日、肖像画の目の部分を上手く描くことができないゾレが、ミカエルに筆を持たせてみると、彼は一息に見事な目を描きあげてみせた。その日から夫人と急速に親密になったミカエルは、ゾレから距離をおくようになり、夫人との華美な生活のために館から高価な美術品を次々と持ち出していくのだった。愛の証として与えた絵画までミカエルが売り払ってしまったことを知ったゾレは、館の窓をすべて閉じ、それでも孤独の中で大作を完成させるが…。


作品紹介

『ミカエル』は、同性愛者であったデンマークの作家ヘアマン・バングが1904年に発表した半自伝的な小説であり、当時スキャンダラスで耽美的な作品として知られていた。1921年、ドイツのウーファー社は、アメリカ映画界に打って出るつもりで『ミカエル』の映画化権に3500クローネという巨額を払う。『ミカエル』を監督することになったドライヤーは、当時ウーファー社で映画を撮っていたベンヤミン・クリステンセンとベルリンの町で偶然出会い、この尊敬するデンマークの映画監督の『復讐の夜』(1915) で見せた演技を思い出す。ゾレ役を演じることになったクリステンセンは、撮影中に何度もドライヤーと衝突したが、完成した作品を高く評価したといわれている。また、モダニズム建築の第一人者フーゴ―・へーリングが造形した世紀末的様式美に彩られたゾレの邸宅は、映画のもう一つの主役ともいうべき見事なもので、本作が「もっとも高貴なドイツの室内劇」と呼ばれる理由の一つである。(雨宮)

監督:カール・Th.ドライヤー(Carl Theodor Dreyer)

『奇跡』『裁かるるジャンヌ』などの作品で、後世の映画作家達に多大な影響を与えたデンマークの巨匠。1889年、私生児として生まれ、厳格な養父母の下で育てられた。ジャーナリストとなり映画評を手掛けた後、脚本家としても活躍、監督への道を歩むことになった。若い頃は気球に熱中し、気球乗りの役で映画に出演もした。』

演奏:柳下美恵 (Mie Yanashita)

サイレント映画ピアニスト。1995年に朝日新聞社主催映画誕生100年記念上映会でデビュー。国内外の映画祭で活躍。即興演奏を得意とし、全てのジャンルを弾きこなす。600本を超す映画に伴奏をつけている。