上映作品

監督特集

リプライズ

 
(ジャパンプレミア)
 

■原題:Reprise■英題:Reprise
■監督:ヨアキム・トリアー(Joachim Trier)
■出演:Anders Danielsen Lie/Espen Klouman-Høiner/ヴィクトリア・ヴィンゲ(Viktoria Winge)/オッド=マグヌス・ウィリアムソン(Odd Magnus Williamson)
■2006年 ノルウェー■106min■言語:ノルウェー語(Norwegian)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
■ノルウェーアカデミー(アマンダ)賞最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞

        [ユーロスペース]  2/7(土)19:00〜  2/10(火)11:30〜  2/12(木)19:00〜


ストーリー

幼なじみのフィリップとエリックは、子供の頃から共に作家になることを夢見てきた。成長した2人はついに同時に原稿を出版社へ送るが、フィリップの原稿だけが出版され彼は一躍人気作家となる。しかし、その後フィリップは精神に変調を来してしまう。一方、エリックは一度は挫折したものの諦めずに小説を書き続けていた…。


作品紹介

第79回アカデミー賞外国語映画賞のノルウェー代表作品に選ばれ、ノルウェーのアカデミー賞にあたるアマンダ賞では見事グランプリを獲得。サンダンス映画祭ほか各国の映画祭でも称賛を受けたヨアキム・トリアーの初長編。
祖父と両親が映画人という映画一家に育ち、ラース・フォン・トリアーの甥でもあるというヨアキムは、本作でまさにサラブレッドと呼ぶに相応しい類稀な映画的才能を発揮している。キレのよい編集センスやテロップを駆使した遊びに映画を撮るよろこびを見るかのよう。
また、共に作家志望の2人の青年が主人公という物語は、彼と、その友人でもある共同脚本のエスキル・フォクト(Eskil Vogt)の関係性を暗示しており、本作は夢や愛や友情に揺れる若かりしゆえの心の機微を綴った普遍的な青春映画でありながら、ヨアキムの作家的思考に基づく私小説風の映画とも言えるのかもしれない。
本が出版され、一躍時代の寵児となったものの精神に変調を来すフィリップの内面に迫る緻密な描写はフォン・トリアーの作風を彷彿ともさせるが、映画全体には淡いほのかな希望が託し込まれておりその余韻は独特。
なお、劇中でフィリップとエリックが神のように崇めている作家は、ノルウェーで80〜90年代に活躍した夭逝の作家トール・ウルヴェン(Tor Ulven)(1953-95)をモデルにしている。(藤本)