PANORAMA

ジャンルを問わず話題作を選りすぐった北欧映画傑作選

HARAJUKU

■原題: HARAJUKU 英題: Harajuku
■監督:エイリーク・スヴェンソン Eirik Svensson
■出演:Ines Høysæter Asserson, Nicolai Cleve Broch, Ingrid Olava
■製作年:2018年 ■製作国:ノルウェー ■上映時間:83min
■言語:ノルウェー語 (Norwegian) ■字幕:日本語、英語【With Japanese and English subtitles】

2019年 アマンダ賞:編集賞、サウンドデザイン賞(受賞)/監督賞、作品賞、主演女優賞、撮影賞、脚本賞、作曲賞、助演男優賞(ノミネート)

2019年 マルメ青少年国際映画祭:作品賞(受賞)

2/8 sat 13:00, 2/14 fri 21:10

ユーロスペース

ストーリー

日本のアニメに感化され、部屋にグッズを飾り、自身のを青く染めている15歳のヴィルデ。クリスマス・イヴの夜に母親が自殺したことにより、幼少期に離れ離れになった父親に連絡をするが……。

作品紹介

訪れたことのない土地に憧れを持つ。もっと知りたいと思い、その土地に関係するものにより近づく。私たちにとって北欧が遠い憧れの地であるように、彼らにとっても日本は遠い憧れの地なのかもしれない。そんなことを、日本のサブカルチャーに囲まれる青い髪の少女ヴィルデを見て思う。きっと彼女も、そんな思いを持ちながら自分を保ち、日々を生き抜いているのだ。
日本(特に東京)をテーマにした作品は少なくはない。本作を見てすぐに思い浮かぶのは『ロスト・イン・トランスレーション』だろう。眠らない街の派手なネオン、せわしなく歩く人々の雑踏、他人に興味がないような人しかいないスクランブル交差点……。外の視点で描かれる東京は、どこか別の惑星のように感じる。『HARAJUKU』でも何シーンか東京の街が挿入されるがそこは原宿ではなく、秋葉原や渋谷だったりする。ヴィルデが求める、そしてもしかしたら多くの外国人が想像する東京は、アニメやゲームを通じて生まれた「トーキョー」というイメージの集合体なのかもしれない。
Kawaii カルチャーをはじめとする日本のサブカルチャーはどの国でも浸透してきたように感じる。TNLF2018で上映した青春ガールズ映画である『チーム・ハリケーン』に出演しているサラは原宿でショップを持つのが夢と言っているくらい、かなり近しいところにあるようだ。若い人たちの新しいアイデンティティの形として定着した新世代のトーキョーを堪能できる一本。
世界で幸せな国ランキング上位の常連であるノルウェーを舞台に、孤独と絶望を抱える少女の不安定な 心情を、憧れのユートピアとして胸に抱く「ハラジュク」のイメージやアニメーションといった表現を差し込みながら幻想的に描き出す。ここではないどこかへ行きたいという少女の願いは、叶うのだろうか?

予告編