Anna Odell ー監督特集ー

アンナ・オデル 1973年ストックホルム生まれ。コンストファック美術大学、スウェーデン王立芸術大学を卒業。コンセプチュアル・アーティストとしても知られる。映像を通して人間の本質に迫る実験を試み、ドキュメンタリーとフィクションの境界を曖昧にしながら挑発的に問題を提起する。今、注目すべき作家のひとり。

同窓会~アンナの場合~

■原題: Återträffen  英題: Reunion
■監督:アンナ・オデル Anna Odell
■脚本:ミーケル・S・カウフマン Michael S. Kaufman, アンナ・オデル Anna Odell
■出演: アンナ・オデル(Anna Odell), Anders Berg, David Nordström, Erik Ehn, Fredrik Meyer, Kamila Benhamza
■製作年: 2013年 ■製作国:スウェーデン■上映時間:90min
■言語:スウェーデン語(Swedish) ■字幕:日本語、英語【With English subtitles】

2014年 スウェーデン・アカデミー (グルドバッゲ)賞:脚本賞

2013年 ベネチア国際映画祭:FIPRESCI賞、FEDEORA賞 スペシャル・メンション-批評家週間部門

2/8 sat 18:30, 2/10 mon 16:30, 2/14 fri 14:00

ユーロスペース

ストーリー

再会を喜び合い、楽し気に談笑し合う同窓会の会場。少し遅れてやってきたアンナもまた同窓生らと抱き合って再会を喜んでいるかに見えた。 パーティーが始まるとすぐに彼女はグラスを鳴らしてスピーチを始める。 いつの間にか形成されたスクールカーストについて、当時伝えられなかった思いを語るのだった。 その後続くスピーチで、主催者のアンダースが友情について語ると、アンナは自分の思い出とは違うことを訴えるが、会場からつまみ出されてしまう。

作品紹介

アンナ・オデルは卒業制作である”Unknown Woman 2009-349701"の撮影時に、公共の場で演じた自殺が警察沙汰を起こし、世間をにぎわせて一躍有名になった。 アートなら何をしても許さるのか?と物議を醸したが、長編デビュー作となる本作にてその才能を正当に評価されることになる。

20年振りに同窓会が開催されることを聞きつけたアンナは、それを撮影しようと考えていたが、招待状が届くことはなかった。 知らない間に開催されてしまったことを知った彼女は、役者を使って架空の同窓会を開いて撮影することを思い付く。そして同窓会のために用意していたスピーチの原稿を読み上げ、いじめられていた当時の思いをぶちまける。 劇中で同窓生が口にする「自殺未遂の作品」とは前述の卒業制作のことを指している。

本作は2部構成からなり、パート1は同窓会のシーンで、パート2では撮影した映像をかつての同級生に見せて話し合おうとするが、 実際にはそれも叶わず、またしてもフィクションとして作り上げる。 しかしながら電話でのアポイント・シーンなど、一部は事実も含まれ、ドキュメンタリーとフィクションを行き来するハイブリットな作品に仕上がっている。

9年間と言っているので、日本での小中学校時代にあたるグルンドスコーラン ( Grundskolan)の同窓会ということがわかる。 9年間。子供にとっては気が遠くなるほど長い年月を、ずっと「自分は負け犬だ」と思い続けなければならなかった残酷さ。そもそもアンナは復讐をしようなどとは思っていなかっただろう。 ただ、当時伝えられなかったことを伝えたかっただけ、聞けなかったことを聞きたかっただけではないか。

子ども時代のいじめの影響について訴えているが、これは大人の社会にも通じる物語でもある。

予告編