Anna Odell ー監督特集ー

アンナ・オデル 1973年ストックホルム生まれ。コンストファック美術大学、スウェーデン王立芸術大学を卒業。コンセプチュアル・アーティストとしても知られる。映像を通して人間の本質に迫る実験を試み、ドキュメンタリーとフィクションの境界を曖昧にしながら挑発的に問題を提起する。今、注目すべき作家のひとり。

X&Y

■原題: X&Y
■監督:アンナ・オデル Anna Odell
■脚本:アンナ・オデル Anna Odell 、Jakob Beckman
■出演:アンナ・オデル(Anna Odell)、ミカエル・パーシュブラント(Mikael Persbrandt)、トリーヌ・ディルホム(Trine Dyrholm)、イェンス・アルビヌシュ (Jens Albinus)、ソフィエ・グロベル (Sofie Gråbøl)、トゥーレ・リントハート (Thure Lindhardt)、シャンティ・ローニー (Shanti Roney)、ヴェラ・ヴィタリ(Vera Vitali)
■製作年: 2018年 ■製作国:スウェーデン、デンマーク■上映時間:112min
■言語:スウェーデン語(Swedish) 、デンマーク語(Danish) ■字幕:日本語、英語【With English subtitles】

2014年 スウェーデン・アカデミー (グルドバッゲ)賞:脚本賞

2013年 ベネチア国際映画祭:FIPRESCI賞、FEDEORA賞 スペシャル・メンション-批評家週間部門

2/8 sat 15:30, 2/10 mon 18:30, 2/14 fri 11:00

ユーロスペース

ストーリー

監督のアンナは、俳優ミカエル・パーシュブラントの協力を得て、ある映画の企画を進めていた。お互いの外面と内面を観察し合い、本当の自分をみつけるためにスタジオにこもって共同生活を送ることにし、そこにはふたりの内面を、それぞれの分身として演じる6人の俳優たちも集められるが……

作品紹介

『同窓会~アンナの場合~』で鮮烈なデビューを果たしたアンナの元に、ミカエル・パーシュブラントらスウェーデンとデンマークのトップ俳優7人が集まった。これは業界内での彼女の注目度と期待値の高さを物語っていると言えるだろう。

メディアに映し出される姿とは違う本当の自分。アイデンティティとそれが人生に与える影響を探求するため、ミカエル・パーシュブラントとアンナは、スタジオ内のセットで共同生活を送り、お互いの外面と内面を観察し合うプロジェクトを開始する。ミカエルの分身として、トリーヌ・ディルホムは彼の芸術的で知的な側面、トゥーレ・リントハートは破壊的な側面、シャンティ・ローニーはクリエイティブな側面を演じ、一方、アンナの分身としてヴェラ・ヴィタリが外交的で挑発的な側面、ソフィエ・グロベルは論理的で芸術的な側面を演じる。もうひとり、アンナの分身を演じるイェンス・アルビヌシュは、最初から神経質に怯え、明確に自身の役割を口にすることはない。

スタジオ内には、アンナとミカエルのそれぞれの部屋があり、ふたりはそれぞれの分身と共にベッドに入る。時折、アンナが与えるテーマでそのシチュエーションが演じられたり、2部屋設けられた相談室では、心理学者と面談をしたりもし、すべてが映像に収められていく。アンナのアイデンティティの探求は、ジェンダーロールや性にも及んでいく。調査と撮影と脚本が同時進行するという実験映画、の体を成しているが……

さて、どこまでがフィクションでどこまでがドキュメンタリーなのか。前作以上にその境界線は曖昧になっている。ゲスな一面を見せるミカエルは果たして本来の姿なのか……?めくるめくアンナ・ワールドにぜひ飛び込んでいただきたい。

予告編